「さっぱりかっこよくして。」




馴染みのある床屋でそんなこと言ってみる。




「…あと髪、黒く染めて。」




『はいよ。でも翔が黒で短くするなんてな。恋でもしたのか。』




って鼻で笑われたけど、図星だ。



そんなんじゃねーよって口を尖らせて少し照れた。



おっちゃんは何も言わずに、ちょっとだけ笑ってかっこよく切ってくれた。




『ありがとうございました。』




見送るおっちゃんの顔は俺に




“頑張れよ”




って言ってくれてるような気がした。