ただ、彼女は真面目になったキキを好きになったそうで、それが嬉しかったのだろう。 「京大受けたのも、そいつのおかげ。まあ、本人は行かないんだけど。新しい環境で心機一転するのもいいなって」 キキは春の日差しに目を細め、ふっと歩みを止めた。 商店街から駅に渡る信号は赤だった。 わたしは、どうしても彼女について尋ねる気にはなれなかった。 純粋に嫌で、嫉妬だった。 わたしの心を、好きだったころの感覚がもやもやと包んでいくのが分かった。 「わたしたち、なんで別れたんだっけ」