君しかいない


「とりあえずお茶入れるよ」

お茶を入れる先生の後ろ姿は
なんだか大人の人っていう感じがした

「彼女とかいるんですかー?」

「どうしたの、いきない」

笑いながら先生が言う

翔に少し似てる、余裕のある優しい笑い方だ。

自分でもほんとどうしたって感じだ。
思ったことをサラッと口に出してしまう。感情をそのまま。

「いや、先生カッコイイから

いそうだなぁって」

「俺にいると思う?」

「はい、いるでしょ?」

ちょっとからかってるつもりだった。

大人をからかうなんて、
舐めた真似したもんだなあって思ってたけど。