手術は無事に終わったものの、数週間入院することになっていた妹を、私はこの日もお見舞いにきていた。
病室にいるのが退屈で、私は地下にあるコンビニにお菓子を買いに行った。
「ねえ、これあなたの?」
大好きなお菓子を買えたので、早く食べようと足を急がせてた私を誰かが呼び止めた。
「ん?」
正直言って、早くお菓子を食べたくて仕方がない私には返事をするのも面倒くさかった。
普通に呼び止められただけなら無視出来るが、肩をつかまれてしまった私はそういうわけにはならない状況にいた。
私の肩に伸びる真っ白い腕をたどり私は後ろを振り返った。
…綺麗。
振り向いた先にいたのは、今までに見たことのないくらい綺麗な美少女だった。
「これ、あなたのでしょう?」
…天使みたい。
実際に天使を見たことがあるわけじゃない、でも彼女は本当に美しかった。
私の手の平くらいしかなさそうな小さな顔。
ぷっくりとして、綺麗な桃色の唇。
少し茶色くてくりっとした瞳。
その瞳から伸びるまつ毛は私の二倍くらい長くて上にくるんと持ち上がっていた。
瞳のすぐ上に並ぶ前髪は綺麗にカールされてて、胸まで伸びる髪の毛はほんの少し茶色がかっていた。
「ねえ、聞いてる?」
突然目の前に現れた美少女にすっかり私は見とれてしまっていた。
「へ?あ、うん。そう!ごめんね。ありがと。」
その白くて細い綺麗な手の平の中には間違いなく私が去年の誕生日に友達からもらったストラップが光っていた。
「どういたしまして!あなたはここによく来るの?」
そう言って彼女は綺麗な瞳を少し細めて笑った。
「うん、しばらくはね。」
「じゃあまた会うかもね!私、海桜っていうの。よろしくね!」
「私は詩藍。よろしくね!」

