階段を上りきったところで、ゴーンゴーンと大きな鐘の音。


先生が舌を打つ。



「あっちの階段から行けば良かったな…

生徒がいっぱい来るから流されるなよ」


「はい…」



その言葉と同時に、ドアが開き人が溢れてきた。


一気に廊下が騒がしくなる。


ヘルヘイムみたいだ。



先生の手をしっかりと握って身構える。



「あ、先生こんばんはー!」

「こんばんはーっ!」


「おーっ」



適当に受け答えしながら、すいすいと人の間をすり抜けて行く。


ハラハラどきどきしながら先生に続く。












「はぁー…なんかいつもより遠かった。」


「す、すいません…」



静まり返った薄暗い廊下。


ここは校長室しかないフロアで、生徒はほとんど通らないそうだ。



疲れた顔の先生。


私がお荷物だったことは言うまでもない。



「大丈夫だったか?」


「あ、はい。」


「よし、これから校長室に行くからな。

この円の中入れ。」



背中を押されて5、6人が入れそうな石の円の上に立つ。




校長室と言ったが、入口はどこだろう。


正面、左右ともに岩の壁。


扉らしきものは何もない。



「来るぞ…」


「え?」