先生の所に走る。
声かけてくれれば良かったのに。
隣に走り込むと、先生がふんと鼻を鳴らす。
「バカだな、お前」
「ひどいたっ!」
「ほらよ」
叩いたものを渡してくれた。
さっきの筆入れだ。
白い紙で包装してある。ピンクのリボンが可愛らしい。
メアリーさんのセンスはすごいな。
金のロゴもついている。
「あ、ありがとうございます。包装まで…」
「今開けんなよ」
早歩きする先生についてくので精一杯で、開けられるわけがない。
「いらっしゃいませ。何をお探しですか?」
本屋さんに教科書を買いに来た。
店員さんが探すのを手伝ってくれるようだ。
「ワブフォード1年生の教科書お願いします。」
「あぁ、申し訳ございません。5月まではまとめて置いていたんですが…」
「探すので大丈夫ですよ」
「お手伝い致しますね」
先生が取り出した紙に、ズラリと書籍名、作者、出版社が書かれていた。
その紙を半分に切って店員に渡す。
「じゃあ半分お願いします。」
「かしこまりました。」
店員は教科書一覧表を受け取ると、すぐさま本探しを始めた。
「よし、やるか」
ため息混じりの気だるそうな声で呟くと、書籍名を読み上げた。
「あー、『生物学の基礎』!生物学の分類だぞー探せー」
「はい!」
制服の仕立て屋と同じ造りの店内。
しかし2倍以上の広さがあり、本棚が沢山並んでいる。
本棚の間の通路は人がギリギリすれ違えるくらいで、高さは先生よりかなり高い。
これでは分類を探すことすら大変だ。
「あ、ありました…届きませんが」
