ルージュさんが作ってくれたカクテル。


色んなフルーツの味がして美味しい。



最後の一口をストローで飲み干すと同時に、眠そうな顔のアーサー先生が下りてきた。



「アーサーちゃんおはよー!」

「おはようございます」


「おー…早いな」



そう言いながら昨日と同じ席に座る。


とりあえず、昨日怒らせてしまったことを謝らなければ。



「先生、昨夜すいませんでした…」



ぶぐっ…とルージュさんが吹き出す。



「…っ!き、気にしてねぇー、よっ!」


「ぬっ…!」



おでこにデコピンすると、ふいと顔を背ける。


なぜ先生は顔を背けるのだろう。



「シーファちゃん!」



小声でルージュさんのが話し掛けてくる。


友達の作り…「友達になって」その一言だけなのに、心臓が疾走している。

ふー、と深呼吸。


準備完了だ。



「アーサー先生。私はシーファ・レイヴェンと申します」


「…は?知ってるけど?」


「と、友達に…なってください!」



恥ずかしくなって、顔が見えないように頭を下げる。


これであってる?

間違えない?


どくどくと心臓が早鐘を打つ。


まるで初めて外の世界に出たときのようだ。



「……え?」



…え?


顔を上げると、目を見開いたアーサー先生と目があった。


どうしたらいいか分からなくてルージュさんを見る。



顔を隠して震えている。



「おい……お前っ!シーファに変なこと教えただろ!!」



ダンッと音を立てて先生が立ち上がる。


そして真っ赤な顔で捲し立てた。



「お前無知なシーファで遊ぶなっ!

変なこと教えるな!!

俺でも遊ぶなっ!…くそっ」


「だって…面白いんだもの……ふふふっ」



ひとしきり笑うと、深呼吸をしてルージュさんはにこりと笑って言う。



「良いじゃない、友達になってくれても」


「教師と生徒が友達っておかしいだろ」


「まだ研修生じゃない。しかも、18歳。

年も近いし、あたししか友達いないなんて可愛そうでしょ?」


「っ…」



もしかして失敗か。

誰とでも友達に成れるわけではないらしい。


心のノートに、教師と生徒は友達になれないと書き加える。



「えっと…すいません」