「まぁ、なんか悩みとかあったら俺が聞いてやらなくもないからなっ!」
「?…わっ」
頭を乱暴に離して、ふいっと顔を背ける。
グラッと後ろに揺れる。
なぜ、私に悩みがあると思うのだろうか。
「ふっ、何照れてんのよ!ふふっ…」
「照れてねぇーし、笑うなっ!」
また言い合いを始めた二人を見ながら、心が暖まるのを感じた。
「明日は早めに出るからしっかり寝ろよ!
そうだな…7時には下に来い。着替えだけしとけばいいぞ…いいな?」
「はい。」
夫婦のような喧嘩のあと、先生から明日の予定について聞かされた。
夫婦の関係については私の両親とエルンダムさん夫婦しか見たことがないので、
二人のようなあり方もあるのだということを学習した。
「…なんだ、悩みか?」
ボーッとそんなことを考えていると、アーサー先生が心配に顔を覗き込んできた。
「あ、いや…夫婦のあり方についてを……」
「……は?」
「夫婦…?」と眉を潜めて呟く。
「うちのお母さんとお父さんはお互い常に仲良しだったんですけど…
お二人は喧嘩することで仲を深める…
あり方は色々あるのだなぁ…と思いまし、てっ!?」
「バカかお前っ!!」
真っ赤な顔でチョップをしてきた先生。
痛かったです。
「何で夫婦っ!?俺と誰が?」
「ええと…ルージュさ、痛っ…」
「んなわけねぇーだろ、バカっ!」
「バカって…何ですか?」
「何でもいいんだよっ!…ったく、そんなことかよ。
心配して損したぜ…」
おやすみっ!と言って隣の部屋のドアを勢いよく閉めてしまった先生。
何だか色々間違っていたようだ。
申し訳ない気持ちで自分も部屋に入った。
