「おい、シーファ。今日はここに泊まるからな。
部屋に荷物置いてこい。行くぞ」
「はいっ」
「あたしの店なのに~」
頬を膨らましながら楽しそうに手を振るルージュさんにお辞儀する。
ムッとした顔のアーサー先生に続いて、カウンターの横を通り、階段を上る。
2階には部屋が沢山あった。
「お前の部屋ここだ。荷物置いたら下に戻ってこい」
「はい。」
部屋に入ると、ベッド、机、椅子があった。
そしてドアの向かいに四角い窓が1つ。
窓の外を覗いていると、暗くて木々しか見えない。
机の横にリュックを置いて部屋を出る。
下の階に戻ると、カウンター席にアーサー先生が座っていた。
「あぁシーファちゃん。座って!」
ルージュさんが薦めてくれた席に座る。
隣のアーサー先生が食べている料理のいい匂い。
「ご飯食べてないでしょ?アーサーちゃんと同じのでいいかしら?」
「はい。」
「ちゃん付けやめろ」
「もー、すぐ怒らないのっ!」と先生の金髪をくしゃりと撫でて笑う。
本当に親子なのか、はたまたこれが普通の距離感なのか…
んー…訊けば早いのだが違ったら失礼かも…
「はい、オムライス。」
「おむ、らいす…?」
聞いたことない料理だ。
黄色いとろとろしたものは卵、かかっているのはビーフシチュー。
「いただきます。」
スプーンで一口分掬う。
卵の中から赤い粒々したものが出てきた。
口に運んで咀嚼する。
トマトの味がした。美味しい…
「美味しいです…初めて食べました。」
もちもちした食感。
何だろう?
「よかったわぁ!」
「これ、何ですか?」
