絆の軌跡




「もうすぐ着きますわ、えぇ。」



夕陽が沈み始めた夕暮れ時。


日が沈むのを見ていたおじさんが教えてくれた。



「はい。」


「あれがレスルですわ。」



指差す方を見る。


点々と明かりが見える。



「街の入口前に着地するから、しっかり掴まってください、えぇ。」



そう言った直後、ドラゴンが急降下した。


ぎゅっとコリーを抱く。

身体が前に押し出されて、ベルトが無ければ地上に真っ逆さまだ。


離陸の時は垂直に飛んだのに、着陸はこの角度。

ルティナは大丈夫なのか。



どんどん地面が近付いてくる。


髪で前がよく見えない。

が、ふとスピードが落ちるのがわかった。


同時に地面と平行になる。



ドスン、と大きな音。


ルティナが乗っている木の檻を置いた音だ。


その隣にゆっくりとドラゴンが着地。



無事、レスルに到着である。



「レスル到着です。降りて大丈夫ですわ。」



ベルトを外してルティナに駆け寄る。


撫でてやると、鳴きながら軽く床を蹴った。

思ったより元気そうだ。



「今出すので少々お待ちを。その間に荷物を下ろしてて結構です、えぇ。」


「ありがとうございます。」



お言葉に甘えて箱から荷物を取り出す。


一度マントを外して、大事な剣を肩に担ぐ。


マントを着け直すと、丁度ドラゴン便の店主がルティナを牽いてきた。

鞍も付けてある。



「ありがとうございます。」


「いいえ。では、ドラゴン便の料金、金貨5枚です、えぇ。」



リュックの中から金貨を5枚取り出して店主に渡す。



「毎度。またのご利用お待ちしてますわ。」


「お世話になりました!」



ドラゴンに乗り、ヘルヘイムに帰っていくのを手を振りながら見送った。