ドラゴン便のテントに戻ると、店主があくびをしながら待っていた。
「すいません、お待たせしました。」
「いいえ。では付いてきてください、えぇ。」
すぐ隣の門を出ると大きなドラゴンがいた。
暗い緑色で、翼を畳んでいるにも関わらず驚くほど大きい。
「こ、これに乗るんですか…?」
「はい。ここに馬を乗せてください。」
ドラゴンの横にある木の籠。
餌箱と鞍置きがある。
「ルティナ、おいで。」
動き回るスペースはないが、まだ成長途中のルティナには窮屈ではないようだ。
餌箱に藁を入れ、入口を閉める。
そのあとで店主がロープでしっかり締めてくれた。
「お客様はドラゴンの背中の座椅子にお座りください。ベルトもしっかりとお願いします、えぇ。」
2個ある座椅子のうち、後ろの席を指して言った。
「お荷物は必要なもの以外は背中の箱に入れてください。
必要なものはお膝に。
まぁ、手を離してしまうと取り返しがつかないですから。箱に入れることをオススメしておりますがね、えぇ。」
「はい。」
とりあえず食べ物以外を入れておく。
「御者は私が担当しますで、よろしくお願いします。」
「お願いします。」
御者のおじさんはドラゴンの首のすぐ後ろの席に座って、ベルトをした。
「じゃあ、シーファちゃん。頑張ってね!」
「はいっ、ありがとうございました!」
「息子によろしく!」
「はいっ!」
椅子に座ってベルトをする。
マントでコリーを包んでしっかりと抱いた。
「では飛びますよ。揺れるから気を付けてな。」
ドラゴンがバッと翼を広げる。
人の身長より大きな翼をバタつかせると、
強い風が起きて気が揺れる。
「いってらっしゃーーい!!」
レオさんが風に負けないくらい大きな声で送ってくれる。
「いってきますっ!」
言い終わる頃には、もう街が小さく見えた。
