おばあさんが私達が来た方に歩いていくのを見送ってから出発する。
ルティナもまだまだ元気なようで、よかった。
「あの…学費のことなんですが」
「あぁ、気にしなくていいよ。二人分くらいなんとかなるから。」
「じゃあ…勉強頑張ると安くなるんですか?」
「そうだよ。あー…それにはちょっと期待してるかも」
ニカッと笑うレオさん。
エルンダムさんは優しい。
ただのお隣さんに学費まで出してくれるんだ。
勉強を頑張らないと。
再び縦に並んで馬を走らせる。
予定より早いペースだと言っていた。
ルティナはとても優秀だ。
そう言ってもらえて、すごく誇らしい。
何だかさっきより世界が明るく見える。
辺りが薄暗くなった頃。
周りは暗くて見辛いが、遠くに明かりが見えてきた。
「ヘルヘイムだよ。」
「はい。」
あれが…
目を凝らせば門のような影が見える。
もうすぐだ。
逸る気持ちを抑えて、後ろに付いていく。
「門の前についたら馬を牽こうね。」
「はい。」
どんどんと明かりが強くなる。
門もハッキリと見えてきた。
扉のない、簡素な門だ。
街の入り口に着くと、ルティナを降りて前を歩く。
「荷物も気を付けて。」
「はい…」
右手で手綱、左手で剣を包んだ布の端を握って門をくぐった。
