片付け始めてしばらくたった。
窓の外は霧が晴れ、日が高く上っている。
そういえば殺されてしまった羊達もどうにかしてあげなければ。
作業を中断して外に出ようとした、その時…
「…わっ!?」
迫ってきた黒い影をサッとかわす。
黒い影はすごい勢いで家の中に突っ込んできた。
ドンッとでかい音をたてて壁にぶつかったそれは、床にごろりと転がってテーブルの陰に入ってしまった。
ドッドッドッドッと心臓が早鐘を打つ。
ヒヤッとした。
正体を確かめに机の陰を覗く。
「カラス…?」
そこには大きなカラスが転がっていた。
しかも白い何かをくわえている。
大丈夫?、と呟きながら抱き上げる。
体勢を直してやると、元気良く翼をばたつかせた。
白い物はどうやら手紙のようだ。
宛名は…私。
カラスを膝にのせたまま封を切る。
字に見覚えがあった。
震える手で中身を取り出すと、短く文章が書いてあった。
やっぱりお母さんの字だ。
