十日目の判決 -完-







「…っ、いのちゃんっ…ごめんなさいっ…」



口を開いたのは結希だった。
泣いている声だった。

だけど、結希は涙を流してなんかいない。


そうだ、結希が泣くのはおかしい。
この場で結希が涙を流すのはおかしい。

だから結希は涙が出るのを堪えて、
我慢している。

膝の上にある結希の両手は力無く震えていた。


ごめん。結希、謝るな。たのむ、謝るな。



私がいけないのだろうか。




結希の性格は分かっている、
結希がどんな人間なのか私は知っている。



結希が行ったことは‘‘浮気”なのだ。



だけど、結希は彼氏の事をちゃんと好きでいる。
結希は今だって彼氏の事しか見えていない。




結希が軽い気持ちで、
浮気をするなんて考えられない。

結希がなんとなくで
浮気をするはずがない。


結希が彼氏を悲しませるような行為をするような人間だなんて思えない。思えないけど、結希は完璧なんかじゃないから…。



だけど、



だからこそ、結希は椎名と浮気になった。




…椎名と浮気した。





私の彼氏とした。