椎名が空を見上げて、
隣にいる人の手を握ったとき。
隣りに居たのは、
黒い髪を自由に靡かせる結希だった。
今でも2人が並んで校門から出てくる光景は
私の脳裏に焼き付いたままだ。
あの時、お母さんの頼み事を断れば良かったんだ。
むしろ、スマホなんて便利な物を人類は開発しなければ良かったんだ。
なぁ、浮気ってナニ。誰か答えてくれ。
「私は木村から聞く前に、2人が一緒に居た事知ってた。」
だから、妖怪スピーカーに結希が男と一緒に居るのを見たと聞いたとき思い込んでしまった。
私が見たのと同じだって。
そう決めつけてしまっていた。
私は結希と一緒にいた男の正体を知っていたから。
けど、妖怪スピーカーにショッピングモールで見たと聞いて気付いた。
妖怪スピーカーが2人を見たのはまだ外が明るい頃だ。
私が見たのは日は沈んでいて、しかも場所は校門だ。
明らかにおかしいだろ。
だって、私と妖怪スピーカーが見たのは別の日の2人なのだから。
「知って…いたの?」
「うん、私は私が1人の時に2人が一緒に居るのを見た。」
結希の問いに私は答えた。
「それっていつ?」
今度は、椎名が私に聞いた。
「木村が見たのとは別の日だ」
誕生日いつ?って聞かれて
すぐ答えるように私はけろっと答えた。
その瞬間、結希の心の痛みが…胸の苦しみが…
結希の表情にあらわれた。
ああ、私は結希にこんな表情させたくなかった。
体が引き裂けそうだ。
いっその事、引き裂けてしまえばいいのに。
「…い、いのちゃんっ…」
結希の顔がごめんなさいと言っている。
まだ話したわけではないのに。


