「……っ」
結希は言葉を詰まられせる。
椎名は口を噤んでいて喋ろうとはしない。
妖怪スピーカーは本当バカだな。
一番重要な事に気付いてない。
…気付いてなくて、良かったかもしれない。
ただ、ただ。結希が純粋に大好きなだけだ。
妖怪スピーカーはそれで良いんだ。
「結希、木村は結希の様子がおかしいと感じてたんだ。だけど、木村はそれを結希に無理矢理聞き出そうとはしなかっただろ?結希を困らせたりしたら…結希が何か悩んでいるのを助けたいだけなのに逆効果になってしまうからな。」
「…いのちゃんっ…」
私の名前を静かに、どこか強く呼ぶ結希は…
どれほど胸が苦しいのだろう。
私だって、引き裂けるくらい苦しい。
私が泣くのはおかしい。
何の涙なのか…涙の理由は見つからない。
私は表情を変える事なく、淡々と話す。
「何で様子がおかしかったのか、木村には話してないだろ?」
「…木村くん、知ってたんだ…」
「うん」
結希は、認めた。結希は正直者だから。
結希、君の彼氏は気付くよ。
だって結希の事が本当に好きなんだから。
結希しか見てないんだから。ちょっとバカすぎるけど。
「結希、木村は優しい人だ。」
私は結希に呼びかけた。結希の瞳が揺れる。
「なぜ、木村に対して様子がおかしかったんだ…?」
私は、ついに…
引き金となる、
質問をしたのだ。
もう、後には戻れない。
私も、結希も、椎名も、誰もが…
何を言っても、
もう仮面は剥がれてしまう。


