「二宮、教科書見せて!」 にっと微笑む彼に、私はわざとらしく顔をしかめてみせた。 「バカ清水、また教科書忘れたの?」 「わりぃかよ」 「悪いに決まってるでしょ!」 隣の席の清水は、二年生になってはじめて同じクラスになった。 お調子者だけど、皆に優しいので誰からも好かれていた。 普段はヘラヘラしているけれど、剣道部の中ではエースだっていうのも聞いた。 剣道は小学生の時からスポ少に入っていて、その頃からすごく強かったんだって、清水と同じ小学校の子が教えてくれた。