苦い過去を忘れるために頭を振る。

何も入学式の日にこんなことを思い出す必要もなかった。

あたしは壁にかかっている制服ではなく、私服に着替えた。

男子用の制服を着て学校に行くことなんてしたくないし。

第一、採寸をしたにもかかわらず、サイズがあってないって…

着ろっていう方が無理な相談だ。

ああ、絶対目つけられる。


…まあいっか。着られないんだし。

男子校だけど聞いた話によると女性教員もいるようだし。

第一トップクラスの高校に入学できただけましだ。

共学に行こうとしたら学校から遠回しなお断りが来るなんて。

このままじゃどこにも行けないとこだったが、紹介してもらえてよかった。

魅火流と同じ学校だし。

結果オーライってことで。

おっ、卵焼きのいい匂い。

朝ごはんの準備ができたか。

魅火流に声かけてから行こう。

そろそろ着替え終わっているだろうから。