初恋は一言から

「この問題は…えーと確かここにこの定理を入れて…」

数学の応用問題だった。

仮定と定義と定理をきちんと理解していないと解けない。

まぁ理解していても正答率は多分0.1%以下だと思う。

簡単に言えば相当頭の回転が早いか天才じゃなきゃ解けない問題ってこと。

あたしからしてみれば簡単だけど。(嫌味っぽくってごめんね)

「でこうなってこうやると答えが出る」

「へぇ。ありがと」

魅火流がすっきりした顔で頷く。

「ところで氷瀬乃…うわ⁉︎」

なんだか怖いのがいる。

床に指を当てていじけている大人が。

クリーチャーみたい。(確かそんな名前の怪物?)

「なんだい魏姫。ただいま頭の中が絶賛炎上中の僕に何の用だい?」

すみません。

自虐ギャクがものすごく痛いです。

ついでに言うとその行動自体がものすごく痛いです。

「時間も時間だし、寮?に帰えってもいいかな〜と思って…」

「あ、俺も今同じこと思ってた」

what!?onajikotokanngaeteita!?

あ、ローマ字になってる。

動揺してるんだあたし。

悟られるのも面倒くさいからポーカーフェイスで通す。

なんだか今まで以上に魅火流を意識している気がする。