トントン。

優しくドアをたたく。

「魅火流~着替え終わった?ご飯食べにいこ」

「ふぁ、はいはい。今行くよ」

ドアの向こうからあくび交じりの返事がかえってきた。


ガチャ。


「おはよう魏姫」

「おはよう」

部屋から出てきた魅火流は制服だった。

もちろんあたしの部屋にかかっている制服と同じ。

ネクタイに慣れてないせいか少し曲がっている。

ずっと学ランだったからか。

あたしは背伸びしてネクタイを整える。

入学式くらいはしっかりしておいた方がいいだろう。

「ありがと魏姫」

「いいってことよ」

にっこり微笑んだ魅火流を見上げたその直後。

「フッ」

「ちょっ、魅火流?なんで鼻で笑うの!?」

「いやだって魏姫の格好……私服ジャン。いいのそれで?恥ずくない?」

「えぇ…だってあれ着れないんだよ…しゃーないじゃん」

本当はおそろいの制服着ていきたかったりもしたんだよ。

でも、どうしてもアンバランスになってしまうから着れないんだよ。

少し不機嫌になりながら、階段に向かう。