「だってさー!

あたしがDVDボックスを指さしたとき、イッシ君、『やばいモノを見られたっ!』って顔したんだよ。

誤解するでしょ、そりゃ」


あたしは、鶏肉に小麦粉をまぶしながら答える。

笑いの収まったしおりちゃんが、ふっと手を止めて、真顔で口を開いた。


「カズ君は、上条司のファンっていうより……
上条司に、自分を重ねて見てるのかもしれません」


「え?」