「そろそろ、行こうか」 松崎さんに促されて、椅子から降りる。 あたしの肩にまわされた松崎さんの手に嫌悪感を覚えながらも、必死に愛想笑いを作って。 ロビー階にあるバーを出ると、エレベーターに向かった。 松崎さんの手には、カードキーがある。 あの夜とは違う。 今夜は、あたしの意思で、この人と夜を共にするんだ。