「でも、お願いがあります」 「分かってるって!」 松崎さんは、あたしの太ももを、ぽんぽんっと叩いた。 「あの記事、出さないで欲しいんだろ。泣かせるねー、カレシのために、健気な行動」 「ちゃんと、約束してください」 「する、する。約束する! あの記事は、潰してあげる。表に出さないよ」 松崎さんは、4杯目のウィスキーをぐいっと飲んで。 「今夜の、君のがんばり次第でね」 と、あたしの耳元で囁いた。