まりんちゃんの後ろ姿を見送っていると、

「優奈ちゃん」

沙織さんが近づいてきた。


「ありがとうございました」


「ううん」


沙織さんが首を振る。


「ごめんね、ロケバスの中でメイク道具の整理をしていたから、今の会話、聞こえちゃった」


「いえ」


「わたしにもね、優奈ちゃん、なんだか変わったように見える」


「そうですか?」


「うん、すごくいい方向に。

……前はね、肩ひじ張って、いつも神経張りつめてる感じに見えたの。

でもね、まりんちゃんも言ってたけど、今は柔らかい。

自然体って感じ。

いい恋をすると、人は、こういう風に変わるものよ。

……やだ、優奈ちゃんったら、顔真っ赤よ?」