「どうして、男の子と付き合う気はないの?」 あたしの質問に答えずに。 しおりちゃんが、ティーカップに手をかける。 両手でカップを持ち、一口。 ふうっと息を吐いて。 「わたし、優奈さんのこと、うらやましいです」 しおりちゃんが、ふいに、そんなことを言った。 「えー、あたし、しおりちゃんにうらやましがられる要素なんて皆無だと思うんだけど」 一体あたしのどこをうらやましがってくれているのよと、思わず自分を見回すと、しおりちゃんが小さく笑った。