「行くぞ」 イッシ君に手をひかれて、ブランコに向かう。 「あ、でも、リクとしおりちゃんを二人きりにしてるのが心配だから、早く帰らないといけないんじゃなかった?」 そもそも、それが発端であたしの過去の話になったんだった。 「お前、リクは信用できるって言っただろ。お前のその言葉を信用するよ」 それから、イッシ君は、あたしをブランコに乗せて。 背中を押してくれた。 綺麗な月に向かって、高く、高く。 風を切って、もっと高く。 二人きりの夜の公園に響く、あたしとイッシ君の笑い声。