「ねーねー、夏海!」

ミンミンミンミン…………
蝉がうるさく鳴いている。

「…なにー?…暑い。」
「でしょ??だーかーら!夏といえば本!!図書室行こうよ!」

夏といえば本!?その発想オカシイでしょ!!!かき氷が恋しくなる。

「ね?行こうよ!一生のお願い!」
「…うー、しかたないなー。」
「そうこなくっちゃ!!」

……一生のお願いこれで何回目だよ!とか思いながらしかたなく愛美の誘いにのった。

「ちょっと探したい本あるからそこら辺で待ってて〜。」

まったく、人任せなんだから…。と心の中でつぶやいて顔を上げると目の前には先輩が立っていた。

「!!」
「あ、こんにちは。 本借りにきたの?」

太陽の光の逆光が先輩を隠すが私にはよく見えた。

「こ、こんにちは!別に本借りに来たわけじゃないんですけど、いろいろあって。」

ど、どうしよう!汗やばいかな!?いや、やばいよね!!!

「そっか!俺図書委員だから困ったことあったら言ってな!」

先輩はいつも優しい。みんなにもそうなのかな?図書委員やってるってことは、本にも興味あるんだよね。何の本が好きなんだろう。……いつの間にか私は先輩の事で頭がいっぱいになっていた。

もしかして、これって恋のはじまりなのかな?
恋とかそんなの考えたら余計にドキドキしてしまう。手汗がやばい。どうしよう!

「ま、愛美先にかえってるね!」
「うーん、了解〜。」

「じゃあね」なんて先輩から手をふられたらただでさえ暑いのに…もっともっと暑くなってしまいそうだから今は日影に隠れさせてください。