「ねえ、七島さん。今日の掃除当番代わってくれないー?」

きっかけは、ここから始まった。

「え…今日も?私…掃除したくないんだけど」

クラスの中心的存在の朝比奈莉緒。
彼女は理事長の娘ということもあり、皆から慕われている。
私は苦手なタイプなギャルのような恰好。
そしてクラスで地味な私ーーーー


七島、藍。



私は友達がいないから、狙われたんだと思う。
かれこれこういって掃除を頼まれたのは10回目くらいだろうか?
もう、それすらわからない。


「え?やってくれるよねぇ、七島さん」
「…嫌」
「は?」


もう彼女のパシリなんてごめんだ。


「私にも、掃除当番の日、ありますから。自分でしてください」
「はー?」


私の答えが予想外だったのか、一気に不機嫌になる彼女。
でも、私だって嫌だ。


「へーそんなこと言って…いいんだぁ」


そういって、彼女はニヤリと笑う。
笑っているといっても、目は笑っていないが。


「ふーん。じゃ、いいや。他の人に頼むから」
「…」


あれ。
諦めたのかな。
顔を上げると彼女とその取り巻きはクラスで私レベルに浮いていて地味な子ーーー


「ねぇ、秋村さんは、やってくれるよねぇ?」


秋村麗奈。
中学生の頃にいじめられ、人とあまり接しない。
中学が一緒で、何度か話したことはあったものの、あんまり知らないや。
知っているのは、これくらいだし。