何が聞きたいんだ、佐伯くんは…。

気になってる人…

気になってる人…


考える俺の頭に
一人の人間が思い浮かぶ。


《倉持 菜耶》


…気になる人?

いや、確かにからかい甲斐があって楽しいし…
女として意識した瞬間もあったけど…

でも、妹のように感じるような…


「…多分、いないかと…」


ハッキリとはわかんねぇ。
から、嘘は言ってない…


次に佐伯くんに目をやると
可愛かった顔が
生意気そうにニヤリと笑っていた。

「ふーん…なんとなく頭に浮かんだ人がいたんじゃないですか?ハッキリしないなら、俺がとりに行っちゃいますよ。…後で文句、言わないでくださいね?」

それじゃ、と言って佐伯くんは出ていってしまった。


おいおいおい…

話が急展開すぎんだろ。

つか、俺の頭に思い浮かんだのがそもそも倉持だってわかってんのか??

だとしたら、あいつが取りに行くって言ってるのは倉持ってことで…


くっそー、なんかイライラしてきた。


何に?


倉持が佐伯くんと付き合うってことに?


いや、わっかんねぇー!!
ただ単に、あの挑発的な態度に…?


俺は、この後集中力を取り戻すのに
だいぶ時間がかかったのだった…。