ーしかし、それは同時に風との戦いの始まりであった。


空と太陽はまるで布団を歓迎するかのように明るい光を差しかけてくれているというのに、風は強風を吹き付けて布団をかたくなに拒んでいる。


だが、そんなことでひるむ私ではない。


なんとしてでも、そう、たとえ10分でもいい。


布団に太陽の光を当てたい。


アパートの他の住民は風に白旗を上げているのか洗濯物を何も干していないが、私は負けない。



「どぅおりゃ!!」



女子にあるまじき声を上げながら足に力を入れ、布団を二階のベランダの柵にかける。


風にあおられながらもなんとか布団を干すことに成功した。