脱衣場から全速力で自室に戻る。
古くさい家賃五万の安アパートだから、自室といっても風呂場を出てすぐだけど。
トイレと別になってるだけ古いなりにいいところもある。

じゃ、なくて。

ぜえぜえと無駄にあがった息を整えながら、フル回転する俺の脳味噌。
活性化だ、今こそ活性化させるときだ。
考えろ俺!
考える?何をだ!

…何を?


「…見られた…。」


がくっと四つんばいになって全力でうなだれてみれば、ぽたぽたと、シャンプーが滴り落ちた。

ああ、畳が…
畳がしみになる…。


「あのさー。」

「わあっ、何出てきちゃってんの!?」

「いやあ、もうメンタルケアは終わったかと。」

「終わってないよ!また見られてより落ちたよ!」


脱衣場からすっかり出てきた彼女が、悪びれもせずにからからと笑った。

お湯塗れで。


「ちょっと!拭いて、お湯拭いて!」


自分の腰にバスタオルを巻き付け、取り敢えず脱衣場にまた駆け戻る。
新しいバスタオルを引っ掴むと、立ったままの彼女を急いでそれでくるんだ。