がっくりとうなだれて、この間のシャンプーの染みを見つめてる俺。

…何なんだろう、このそこはかとない喪失感。

この数日間で失ったのは、彼女と諭吉さんだけではないのだろうか。


「…俺、割りと真面目に生きてるのに…。」

「まだ畳の染み気にしてんだ?」

「小さい男だねー、あんた。そんなんだからてんとう虫なんだよ。」


一億円積んでまでてんとう虫に生まれ変わるつもりはないとか、俺が気にしてるのは畳の染みだけじゃないとか、そもそも、てんとう虫は決定事項なのかとか。

たぶん、言っても無駄なんだろうけれど。

たぶん、会話は成立しないんだろうけれど。