静まり帰る室内。
クーラーのない部屋で、安物の扇風機が限界の悲鳴を上げている。
蝉の声が開けた窓から夏を感じさせ、そこにいるお気楽三人組は、


「……へー。」


…どうでもよさそうな声で、そう言った。


「あ、ち、違う!いや、違わないけど、事情があってね、あの、だから…」

「頭のネジまで飛んじゃったとかー?」


優希、上手い。
…じゃなくて!


「ドアも半壊だしね。」


そうだけど!


「鈴木、マジであんまりいじめてやるなよ。はじめ可哀相だろ。」


霞、フォローは嬉しいけどやっぱり間違ってるから!

そうだけどそうじゃないんだ、どうしてこうまとまりがないんだ。


「カプリ、お願いだから説明を…」

「してもいんだけどさ、さっきのジョカノ、大丈夫なのー?」

「……ああ…。」


今更に軌道修正された話題に、俺がうちひしがれていた頃。



「ねえねえ君、どうしたのー?俺と遊ばない?」

「遊ぶ!遊ぶわ!遊んでやる!」



すぐ近所の公園で、モデル風のイケメンに、りかはナンパされていた。

後日。

俺はまんまと、振られることになる。
ドアの修理代は結構な値で、諭吉さんが三枚、財布から旅立った日のことだった。