呆然と立ちすくむりかをよそに、またもや始まる妙な自己紹介。


「あたしカプリねー。」

「あたし、水野優希!」

「鈴木イチコ。」

「高田霞、よろしくなー。」


よろしくしてどうする。
りかはいいのか、りかは。

俺の思考回路どころか存在までもがすでにシャットアウトされたらしいお気楽四人が、勝手に靴を脱ぎ、勝手にテーブルを囲んで話しだした。


「いつ連れ込まれたのー?」


優希、それは違う。


「いやー風呂場でちょっと。」


カプリ、それは違わないけど誤解を招く。


「風呂場か、意外とはじめってアグレッシブなんだ。」


イチコ、お前わかってて言ってるだろ。


「風呂場って…うわー。」


霞、鼻を押さえるな。

どうしたらいいのかわからない俺は、取り敢えず四人のおかしな座談会を止めるべく声を掛けようと手をあげた。

が。

ふと、視界の端に捉えていたりかが、玄関先で、小刻みに震えているのを見留めた。