「こ、こちらこそ……お……お願い、します……?」


予想だにしていなかった返事に、ゆっくりと目を開けた。


顔を上げると、そこには頬を紅く染めている彼女がいた。


その頬の紅は、明らかに夕焼けのせいなんかじゃない。


「え……今、なんて……?」


信じることが出来なくて聴き直してしまう。


「〜〜っ!だ・か・ら、お願いします!!」


2回も言わせないでよ、バカとそっぽをむいた彼女の頬はさらに紅い。


そこで、やっと僕は気付く。


これは、夢じゃない。本当なんだ。


「はいっ!ありがとうございます」


高校に入って、こんなに嬉しいと思ったことは初めてだ。


口角が上がっていくことが抑えられない。


「……宜しくね」


彼女も、少し照れくさそうに満面の笑みを浮かべた。


ホワイトデーが、君の頬の色で、ほのかに紅く染まる。


その笑顔に、僕は何度も恋をする。