『夢、今日も遅刻だったねー』

このこは天野杏奈-アマノ アンナ-。

あたしの親友。小さくて、可愛くて、男子

にもモテる。おまけに声も可愛い。

「いや、校門までは間に合ったんだよ…」

『へ、なんかあったの??』

「あのねー…」

あたしは杏奈に朝のことを話した。

下敷きにしたひとがイケメンさんだったこ

とも。真っ黒い目のこととかも。

『…ねぇ、夢。そのひとさ、王子じゃない??』

「は?王子?おとぎばなしの?」

『ちがうよー笑え、まさか、王子のこと知らないの?!学校いちのイケメンだよ!!』

「え、うん??」

『…まぁ夢はそーゆーのに興味ないもんね笑笑』

杏奈は、その王子とやらのことを教えてく

れた。王子のなまえは、

雨宮亜矢斗-アマミヤ アヤト-

あたしたちと同学年で、1年4組らしい。

他のクラスどころか、同じクラスのひとも

まだあんまりおぼえてないあたしは、王子

のことなんて全然知らなかった。