真実ー失われた者ー



でも自分は何も痛くない。

驚いて前を向くと目の前には
お腹を押さえて立っている天がいた。

「ってぇなぁ。」

天が刺されたんだ。
納得するまでに時間がかかった。

「え…」

目を丸くするかれん。
それもそうだ。
ついさっきまで自分の後ろにいた天が
今は目の前にいる。
自分がその人を刺したのだから。

「いってぇっつってんだよ。」

「天!?どうしてそこまでしてその女を守るの?」

かれんはすごく震えているが、
その言葉だけははっきりとしていた。