高幡君は自分用の本を2冊持ってきているらしかった。

「あ…!高幡君!その本知ってるんだ?」

高幡君が手に持ってるのは私が好きな小説だった。

「でも、それさ、女物じゃない?恋愛話だし。」

まさかあっちの人!?と思って警戒心を抱く。

「君が思ってるような事じゃないよ」

と私の心を見透かしたように言ってくる。

「なんで読んでるの…?」
私が聞くといきなり立ち止まった。

「あ…ごめん…聞いちゃいけなかったかな…?」

私が、高幡君を見てみると
「真っ赤…?もしかして泣かせた!?ごめん…!」

とても困惑してハンカチを取り出そうとしたら、小さい声が聞こえた。

「かっ…彼女の…気持ちがわかる…かも知れないから…」

ッ!?
私は驚きのあまり声もでなかった。
多分、驚きじゃなくて痛みに近いはずだった。

「そぅ…なんだ…。いい彼氏だね。」

「ありがとう。さ…授業に遅れるし行こうか」

その背中は真っ赤で私は高幡君に思われる人が一瞬、羨ましかった。