"やめろよ。"




頭の中でリピートされる。



やだ。



そんなの…やだよ。



目に溜まるものを必死に堪える。




「もう翔と一緒にはいられないの?」




視界がぼやけて翔がどんな顔をしているのかはわからなかったけど、その沈黙から私自身を拒まれた気がした。




「私、翔がいなくなったら…」




独りになる。



そう言おうとしたのに翔がその言葉を遮った。




「ひろきがいるじゃん。違う?」




そうだ。



違わない。



だから何も言えない。




「わり。先帰る。」




待って。



行かないで。





…でも引き止めたところで何を言えばいい?



ううん。



言うことなんてない。





こんなこと初めてでどうしたらいいか分からなくてその場に立ち尽くしていた。



先を歩いて行ってしまう翔の背中をただ見つめて。