「流希、ここにいたのかよ」



いきなり声が聞こえて
驚いてドアの方を見ると
そこには男の子二人が立っていた。



「あっ、この子が昨日流希が拾ったって言ってた子??
すっごく可愛いね!僕、早乙女 春!(さおとめ はる)よろしくね?」


背がとても低いその男の子は
可愛らしい笑顔で近づいてきた。

『えっと…流羽、です』

一応私も自己紹介をすると
早乙女くんは
飼い主に構ってもらえた犬のように
キラキラした目で

「流羽ちゃん!可愛い名前!」

と言って、ぶんぶんと握手した手を振り回す。

「困ってるよ、春。放してあげなさい」


そうツッコミをいれたのは
もう一人の背の高い男の子。
メガネをかけていて冷静そうなタイプ。

「僕は、飯島 結斗(いいじま ゆいと)よろしくね、流羽ちゃん」


そう言って優しく笑いかけた飯島さん。
いや、メガネの向こうの瞳は
笑ってはいなかった。


よろしく、と言うと
二人は何もなかったかのように
部屋を出て行った。


残ったのは私と
私を助けてくれた男の人。

そういえば名前を聞いていない。

『あの、名前なんて言うんですか?』


私が2人と話している間
近くにあったソファーで寝転んでいた男の人は
私が問うと上半身だけを起こして


「神崎 流希だ」


あ、そういえば飯島さんが
流希って呼んでいた気がする…。