*月side*

夢を見た。

いつもいつも見る悪夢・・・。

苦しくて、痛くて・・・暗闇しかなかった。
いつもはそこで目が覚める。けど...今日は違った。

優しい何かにフワッと包まれたような感覚。なせだか安心する温もりに引っ張られるように意識が覚醒した・・・。

「ここ・・・どこやねん。」

見覚えのない天井。部屋全体から漂う消毒液の匂い。大抵はこういうところは保健室と呼ばれるところのはずだ。

そこにいたのは・・・

昼間はよく見てなかったけど、ネクタイの色からして3年生らしい。

さっきのやり取りを思い出して、とっさに身構える。


それを見て、奴は少し面白そうなものを見るような目つきでこっちを見てきた。

「起きたか。」

「・・・。」

心地の良い声。よく見るとイケメンと言われる部類の人か。

「お前、名前は?」

「・・・人に名前を聞くときはまず自分から名乗るもんだろ。」
どうせ学年も違うし、これから関わることもないから、言う必要もないと思い、つい生意気に返事をしてしまう。

すると、またあの面白そうなものを見たような顔で話しかけてくる

「ま、それもそうかw」
そう言って少し笑ったその顔が、とても綺麗だと思ってしまった。

ガラガラ

保健室のドアが開く。
反射てわとっさに身を引くと、そこには昼間のピアス男と爽やかさんがいた。(←勝手に付けた。)

「ちわーっす!ヨウさん!」
「やっほーヨウちゃん」

そう言って入ってくる。
そして私に気づいたとたん

「あぁー!!!!!!!」

馬鹿でかい声で叫んだピアス男。
正直うっさいぞ

「うるせーよレン。コイツがびっくりすんだろうが。」

「そーだぞレン。お前の頭は思ったことをすぐに伝達しちゃう使えないやつなんだから。コントロール上手くしないと。」

「さーせん!・・・って、え?ショウヤさん何げ酷くないっすか。俺のガラスのハート「で?雪姫ちゃんは体、大丈夫?」」

あ、スルーした。てか、本当何げに爽やかさん結構言うなー

「かぶらせた上にスルーした。俺の話・・・(号泣)」

マジで泣いてないか?この人・・・

「コイツはほっといていいから。」

ピアス男改め、泣き虫さんを指さしながら言うイケメン。

「ヨウさんまでー!」

ヨウ・・・っていうのか?

その言葉はいつの間にか口に出ていたようで

「ん?まだ名乗ってなかったな。俺は
結城 陽。こっちは宮部聖也。んで、こっちの泣いてるやつは、巻島 蓮翔。
んで?お前の名前は?」

「……ユエ」

自己紹介されたので仕方なく呟く

「は?」

「だから、神崎 月!1回でわかれや!」

しまった!つい反論を……

流石にキレたか?どうする?ベットの上だと逃げにくいけど

そんな心配をしていると、返ってきた言葉は意外なものだった

「クップハハハ!www」

わらっ……てる?
サン
「「ヨウチャンが笑った!?」」

2人とも何故か驚いてるし、笑われてるし、意味わかんない

「やっぱお前面白いわww」

「……そらどーも」

なんなんだ勝手に笑われて面白いって言われてるこの状況

普段こんなに反論なんかしないのに……

調子狂う……

「……よし、お前、今日から俺のもんな」