1cmの勇気

 そんなことを考えながら席を立って、自分のロッカーに向かおうとすると、

 パサッと小さく何かが落ちる音がした。

 手帳だ。

 拾おうとして、教科書を机においてから床に手を伸ばすと、私の手よりも早く誰かの手が手帳を掴んだ。