4月の国語の授業。
窓の外には満開の桜の木。
ぽかぽかとしていて
眠気を誘う午後の時間。


皆が嫌がる教科書の読み。
皆、ダラダラ読むし漢字の読みを聞く生徒も多い。
正直聞きにくくて飽きてきてた。
でも、さくらは違った。


大きな声でハッキリと
抑揚をつけて
会話文は登場人物の声を使い分ける。
おじいさんの声まで演じていた。

まるで物語を見ているかのような
不思議な感覚。


ほとんど無意識に彼女に見とれていた。

それは先生も一緒だったようで
一文ごとに交代してたのに
ちょうど真ん中にいた彼女には
次、と言えなかったみたいだ。

結局、彼女は最後まで読み切った。