ふわり、足元で空気がくるくるとつむじ風みたいに巻き起こる。
ぼくらはそれに乗って、空へ駆け出した。

「ここはね、風のこどもが生まれる場所」

風を切って、空に向かって宙返り。
ジェットコースターみたいにびゅうんと急降下、地面すれすれを猛スピードで飛び回る。

うれしくてたのしくて、風太くんの手をぎゅっとにぎったら、風太くんはこっちを見て、また笑ったんだ。ぼくらは声を出して笑った。

「たのしいねっ」
「うん、すごくたのしい!!」

空の向こうにまた何かが光った。
それはすごく小さくて、だけど強い光だったんだ。
風太くんはぼくの手を握ったまま、その小さな光に向かって飛び出した。

「あそこがね、はじまりの場所」
「はじまりの、ばしょ…」

風はここで生まれて、あの光から外へ出る。
ぼくらを望んでくれた人のところへ、ぼくらはあの光から行くことが出来るんだ。

「行こう、コウタ」
「…なんで、ぼくのなまえ…知ってるの」

それが、ぼくのねがいであり、コウタの願い。
きみがもってるきれいな石が、あかりおねえちゃんときみをつないでくれる。

「あの光はね、あかりおねえちゃんが持ってるきれいな石の光」

風太くんはそう言って、ぴたりと止まった。
ぼくも同じように立ち止まった。

「あかり、おねえちゃん」