「ごめん、好きな人が出来たんだ…」





…雨が降り続いた中学の卒業式。

君から告げられたその一言は、私の心に深く突き刺さった。




……なんで?

……なんで、今日なの?



……なんで…なんで、今なの?





……私、何か…悪いことした?

…それとも…嫌いになったの?





「ごめん、その子のこと、支えてあげたいんだ」



………。


……そんな顔しないでよ。

何も、言えないよ、そんな顔されたら。



……そうだよね。

君だって、好きになりたくてその子を好きになったわけじゃない。



支えてあげたい。


そう思ううちに、好きに……なっていたんだよね。

君は……そういう人だから。



「……そっか。」


だったら、最後は……笑顔で。

君の想いに、答えよう。



「君は優しいね。いつも周りに気を配って、色々してくれたよね。

その人のこと、心配なんだよね。
支えてあげたいって言ってたね。

そんな風に、人を助けようと一生懸命な君が好きだよ。

だから、今の君を止められない。」





…そう、止められない。

君は私に何かしたわけじゃない。
ただ、その子を支えたい。
それを、私が止めてしまったら、その子はどうなる?




君は私が辛い時、支えになりたいって、付き合いたいって、言ってくれた。



きっと、その子もそうなんだろう。



だから、止められない。



私も、助けてもらったから。




止められない。




「…今まで、ありがとう」


…今までの感謝を込めて笑顔で言った瞬間、君は泣き出した。



「ごめん…ほんとにごめん……」



「…大丈夫だよ」



傘を片手に、ハンカチで君の涙を拭う。




……嬉しいよ。

泣いてくれるくらい、私のこと、好きでいてくれて。




ありがとう。

大好きだったよ…君のこと……。