ちらちらと見ていると、またしても沢井と目があった。



沢井はまた微笑みかけてくれたが、考えていた事を見透かされそうであわてて目をそらした。



そらした先には窓があり、そこから高校にしては広めの校庭が見わたせる。



ふと視界の端に、大きな桜の木がうつった。



広い校庭に一本だけ植えられている。



何となく目をひいたので眺めていると、教室の中にも風の音が聞こえる程の、強い風が吹いた。



桜から花びらが舞い飛んでゆく。



踊るように
歌うように
ひらひらと
ピンク色に舞い上がる
きっとそれは
始まりをつげるささやかなメロディ