もうちょっと高遠くんの背中に触れていたいな、という想いは非情にも、高遠くんの大きい歩幅で保健室に到着した。
ガラッ
『失礼しまーす…。あれ、先生いない?』
明かりのついた保健室は、独特の匂いを立ち込めつつも、ガランとしていて養護教諭は不在だった。
当番でいるはずの保健委員もいない。
『どうする?手当。』
医薬品が置かれているガラスのショーケースの前にあった椅子に降ろしてもらう。
先生いないけど……テーピングしちゃおう。
「大丈夫だよ。私自分でできるから。」
『え?そうなの?』
「うん。」
中学時代はケガなんてしょっちゅうで、自分でテーピングくらいはやってたから大丈夫。
先生の机の上にあったテーピング用のテープに手を伸ばして、上靴と靴下を脱いで慣れた手つきでテーピングを始めた。

