身長差43センチのふたり。




こっ、これは…おんぶと言うことでしょうか…っ?

高遠くんの広い背中を前にして、私は固まる。


「そっ、そんな…いいよ!私、重いし!」

『大丈夫だから。早く手当しないと、次の試合始まるんじゃないの?』


高遠くんの言葉にハッとして試合会場の時計を見ると、次の選手収集まであと25分。

早くいかないと、本当に遅れちゃう。


『ん、乗って。おぶったげる。』

「……っ、」


私より逞しい広い背中。

素直に高遠くんの優しい厚意に甘えればいいのに、どうしても恥ずかしさとか申し訳ないとか、そんな気持ちが勝ってしまう。


『俺の世界……、見てみたくない?』


振り返った高遠くんが私を見つめて、ちょっと意地悪な瞳で聞く。

そう言われてしまうと、心の底から湧いてくる好奇心。

高遠くんがいつも見てる世界はどんなものなんだろう。


「っ……うん!」


気づけば私は首を縦に振っていて、高遠くんの温かくも広い背中に体を預けた。