身長差43センチのふたり。




『小日向?』

「っ、た…高遠くん…。」


人ごみの中、壁を伝ってソロソロと試合会場を後にしようとしていると、後ろから掛かった声に振り向いた。

そこには、体操着姿の高遠くんが首をかしげて私を見つめていた。


『どうかした?歩きづらそうだけど…、』


内緒にしようとしてたのに、一瞬でバレてしまった足のケガ。

手をついて歩くんじゃなかったと思うけど、壁に手をついておかないと歩けそうにない。


「その……さっきの試合で捻挫しちゃったみたいで。」

『えっ!?…大丈夫?』

「うっ、うん。とりあえず保健室に行こうと思って、」


なるべく大げさにならないようにと笑顔で接してる私だけど、それとは対照的に高遠くんの表情は硬くなっていく。


『……着いていこうか?』

「えっ、」

『とりあえず…乗って。』


突然しゃがんで私に背を向けた高遠くんに、私は驚きの色を隠せなかった。