準決勝。
ここまで来ると、さすがに試合のレベルも上がり、中々スマッシュが決まらない。
それでもフェイントを掛けたりして、なんとか勝利を収めることはできた。
決勝まで40分くらい時間がある。
『やったねーっ!これで2位は確実♪』
「そうだね…。」
ズキン…ッ
ラケットをクラスマッチ委員の人に渡して、コートから出ようとしたときに左足首に走った痛み。
――あの時だ。さっきの試合の中盤に、コートラインギリギリに落ちていくシャトルを上げようとして、無理な体制をとったのがいけなかった。
足首を捻ったようで、軽く捻挫したのを、試合中に感じた。
『、どうした?雛乃?』
足首に走った痛みに立ち止まって耐えていると、前を歩いていた華ちゃんが近づいてきた。
…ダメだ。ここで選手交代なんてできない。
軽い捻挫だったら、テーピングすれば一試合くらい出られる。
「ううん、何でもない。私……ちょっと水飲んでくるから、皆のところに行っててくれる?」
『うん、分かった。』
華ちゃんには言わない方がいいと判断した私は、咄嗟に笑顔を取り繕って華ちゃんを先に行かせた。
よし、保健室に行こう。そう思って、私はそっと痛みを孕んだ左足を前に出した。

